読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ぼっち系クズの日常

社内ニートでゆるゆる生きたいと願うパラサイトシングルアラサーぼっちの雑記

ラノベ「なれる!SE」読んでる

15巻まで読んだ。

世にも珍しい、IT 業界のシステムエンジニアを題材にしたラノベ。私は IT 部門で働き、趣味でプログラミングもしているので、面白そうだと思って買った。普通にハマった。

主な成分

内容成分はこんな感じ。

  • 社畜 …… 社畜まっしぐらなシステムエンジニアな、理不尽にも思える仕事に頭や根気で打ち勝っていく
  • 女の子 …… 上司や同僚やパートナーやお客さんなど、ステークホルダーにやたら可愛い女の子が出てくる
  • IT用語 …… よく作り込まれたファンタジー(たとえば「魔法科高校の劣等生」)並に用語がたくさん出てくる
  • 社会人 …… 社長からの無茶振り、きつくあたってくるお客さんなど、社会人あるあるネタがリアルに描かれている

要素成分はこんな感じ。

  • ラブ …… ブヒブヒできるほど露骨ではない。(文章で言えば)人前で読めないラノベというよりは人前でも読めるエンターテイメント小説寄り。
  • コメディ …… 日常パートとシリアスパートに分かれていて、日常パートはこれ。空気系のようなノリで楽しめる。
  • シリアス …… シリアスパートはこれ。バトルマンガやスポーツマンガのような暴力や身体動作はないけれど、雰囲気はそれらにも劣らない。むしろ会社生命、ひいては自分の生活がかかっているだけあって、スポーツマンガよりは危機感が強く感じられる。また、バトルマンガほど非現実的でもなく、リアルなので、正直目を背けたくなる時もあるくらい。

感想1: Good? 同情と危機感

作者の夏海公司さんが元 SE だからか、話やネタがやたらリアルにつくりこまれていて、IT 業界に携わる身としては「あるある」「そうそう、大変だよねぇ」と同情せずにはいられない。

特に、主人公工兵の仕打ちが酷くて泣けてくる件。彼は先輩のことを「仕事中毒(ワーカホリック)」の化物だと思っているようだが、彼自身も終電デフォだし、一切手を抜かず頭フル回転させ続けてるし、理不尽な命令にも抗わず勤めてたり、と同じ穴のムジナだ。月60時間の残業にすら耐えられない私としては、見ていて気の毒になる。私だったら社長をぶん殴ってるかも(笑)

一方で、社会人ならこれくらいが当然だという見方もできる。私は戦略的に社内ニートを目指そうとするクズだが、工兵の頭にはそんなことは微塵もないし、(あとがきを読んだ限りでは)作者も同じ考えを持っているようだ。社会人大変だなぁと他人事に思いつつ、その域に到底至れていない私自身に危機感を覚えつつ。

というわけで リーマンにとって自分を刺激する一冊になってくれるのではないか と思う、と他人事ながら勧めておく。

感想2: Good! ストラテジー

主人公工兵は、社会人一年目(巻が進むと二年目になる)のひよっこにして、IT 知識も皆無。そんな野郎に何ができるのかと不思議に思っていたのだが、工兵には工兵の特技があった。

ネタバレになるので控えるけど、まあありがちな特技である。

これを駆使して、工兵は仕事を、時には会社倒産の危機をも乗り越えていく。

面白いのは、仕事のスケールが社内やお客さんや他者にまで広く及んでいること。 対人戦略ゲーム的側面 があり、なんていうか 頭脳戦 なところがあって、そういうのが好きな私としてはワクワク読み進められた。

感想3: Good! ヒロイン、ラブコメ

まずヒロインについては、メイン・サブ含め、立場も性格もカラダも色んな女の子が登場する。イラストもそこに絞って挿入されているので、まあ無難に嫁を見つけてブヒれますよ。え、私の嫁?工兵の妹「誉」かなぁ。プロレスごっこしたい。登場回数少ないのが悩み。

ブコメについては、物足りないのが正直なところ。少なくともラブコメラノベや恋愛小説ほど露骨ではない。「ラブコメ」という要素を挙げない人もいるだろう、というレベル。

まあこの点は、本作の「SE 奮闘記」的な内容を考えれば正しいだろう。ラブコメを入れすぎるとどちらも中途半端になってしまうからね。正しい判断だと思う。

感想4: Good? IT 用語、IT 界隈

本作の特徴は、IT 用語や IT 界隈についても書かれていることだろう。

まず IT 業界に生きる身として、どう描かれるのかは興味深かった。私も実は IT を題材にしたラノベを書こうとしたことがあったのだが、どこまで、どの程度書けばいいのかの要領が全くわからなかった。本作は、一つの答えを与えてくれている。説明も、詳細への踏み込みの塩梅も、上手いなぁと感心した。私では到底こんなことはできそうにない。ラノベ書くのってムズイんだねぇ。

それから、IT 話をマニアみたいに楽しめるかなぁとも期待していた。……が、残念ながら、私の好みとは違うようだった。

要するに本書は ハードウェア寄り だった。

……まあそうだよな。ソフトウェアは実体のない概念的な話だから、知らない素人さんに理解させるのは相当に難しい。奥深い世界なのに、未だに一般向けのラノベやマンガが出ていないのはそのためだろう。一方、ハードウェアであれば、少なくとも装置や部品という形で実体があるから、説明もしやすい。

感想5: Good? ラブコメ職業作家

※この感想は特に偏見が強いです

ラノベ妹さえいればいい。」によれば、ラノベ作家には2つのタイプがあるらしい。天才肌タイプと、職業作家タイプ。

本作の作者さんは、ヒロイン部分やラブコメ部分については後者の、職業作家タイプなのかなと思った。

なんていえばいいか。妄想が果てしなく湧き出てくるような変態作家が書いたラブコメではなくて、「ラノベにおけるヒロインとは」「ラブコメとは」ってのを勉強して、真面目に取り入れてる感じ。本作を読んでて、たまーにだけど、「ここでラブコメ成分を補充してきたな」と作為的なものを感じることがある。(本作はラブコメではないが)ラブコメを期待しすぎて読んでたら、ハズレだと感じるかもしれない。

まあ、それ以外の要素が普通に面白いのであまり気にならないけど。ただ私がラブコメブヒブヒ厨であるというだけの話だ。

感想6: Good 室見立華の謎

主人公工兵の上司にして、どう見ても10代にしか見えない少女「室見立華」。

彼女は何者なのか。ただのロリババアなのか、それとも本当のロリなのか。後者だとしたら、なぜ社会人として働けているのか――本作最大の謎である。

この謎は 12 巻で明かされる。それまでは上手くはぐらかされる(&シーンも多くない)だけで、正直もどかしいけどね。

私はこういう「登場人物の謎」的なコンテンツも好きなので、楽しませてもらった。

おわりに

ブコメでブヒるのが好きな私としては、ちょっと物足りないけど、目立った悪点も無いし、IT 話が豊富でシリアス展開も見応えがあって、うん、普通に良作だと思う。続きが待ち遠しいです。