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ぼっち系クズの日常

生涯社内ニートを目指すアラサーぼっちの日記

「働かないオジサンの給料はなぜ高いのか」読んだ

本:自己啓発

私はタイトル通りの疑問を解消したくて読んだのだが、どちらかといえば中高年サラリーマンがより生き生き働くための啓蒙書、の意味合いが強かったように思う。

たとえば「日本企業で出世するにはこんなことをしなきゃいけませんよ」的なアドバイス。あるいは、出世以外の価値観をありますよという例示。んで、そのためのインプットというか背景として、疑問に答えてくれる解説もちらほら書いてある。そんな内容だ。

で、働かないオジサンの給料はなぜ高いの?

年功序列程度の体質なら誰でも知っているし、社会人ならより多くの前提や価値観を肌で感じている。そんなことはわかってる。

なので、この疑問は「そんな日本企業の体質が生まれた背景やメカニズムはどうなっているの?」と言い換えてもいいだろう。

総評: 満足

知りたいことを知ることができた。

漠然と知っていたこと、あるいは知ったつもりでいたことが、はっきりと文章で表現されているので、なるほどと氷解できて、読んでて心地よい。

しかしながら、具体例が銀行の話ばかりであることに偏りがあり、他の職種や業種に当てはまるかがわからない。たとえば、IT 企業にも当てはまるのか。

日本企業は利害関係ではなくコミュニティ

「日本企業はコミュニティのようなものだ」という表現は、言い得て妙だ。

私は日本しか知らないから何の違和感も持っていないが、欧米から見れば日本企業の体質は異様らしい。

というのも、欧米では社員と会社はあくまで利害関係にすぎないからである。

社員は成果を上げればそれでよい。アフターファイブも必要なければ、みんな残業しているからと同調する必要もない。一ヶ月の休暇だって取れるし、仕事よりプライベート(家族とか)の用事を優先するのも当たり前。反面、成果が上がらないとクビになってしまうリスクはある。要するに、ドライな成果主義でしかない。

けれど日本企業は違う。成果を上げただけではダメで、付き合いが悪かったり、空気を読まなかったり、プライベートを優先しすぎたりすると評価されない。

なぜなら日本企業はコミュニティだからだ。村と言い換えてもよさそう。同じ場で、同じ時を過ごす仲間。生活共同体であり、運命共同体。その結束の強さを以て勝負する。それが日本流なのだ。

……うむう。薄々感じていたことではあるけれど、コミュニティと称されるくらい根深いものだとは思わなんだ。

気に入られるヤツが出世する

日本企業の人事評価はどうなっているのか。

一言で言えば 周囲の人間からの評価 ベースである。

もちろん業務成績も考慮されるが、それ以上に周囲の声が重視される。周囲とは同僚、上司や、さらにその上司だったりする。同僚は参考程度で、重要なのは上司以降だ。

要するに 上が首を縦に振れば昇進できる 。逆に振ってくれない限りは、いくら有能でも昇進できない。

だからこそゴマすりや派閥という概念がある。選ぶ側の人間が、自分の気に入る人を選ぶという仕組みになっているからこそ、人に取り入ることが重要な戦略となってくるのである。

……あっはっは、ならば既に嫌われまくっている私は出世などできぬな。する気ないけど。

出世競争にあぶれるオジサンたち

日本企業は新卒一括採用とピラミッド構造を持っている。

一括採用にて多数の同期が誕生する。研修などで同族意識を植え付け、競争心を芽生えさせる。

出世すると役職が上がっていくが、この役職、上に行くほど数が少なくなっている。いわゆるピラミッド構造だ。当然、同期全員が手に入るものではない。

また、手に入るタイミングもがっつり定まっている。いくら能力があって、人に好かれているからといって弱冠40歳で役員になることなどできやしない。入社n年後にこの役職の昇進判定を行う、みたいに、出世のマイルストーンが定まっている。なぜって、そうした方が、同期を一律で評価でき、昇進するヤツとしないヤツとを対比させることができて、刺激を与えられるからだ。

そんな出世競争の分岐点は、おおよそ40歳前後と言われる。ここが低層(平社員)と中層(課長以上など管理職)の分かれ目であり、ここで中層に入れなかったものは、生涯ヒラだ。ここで誕生するのが平社員おじさんだが、こやつらは別に高給取りではない。

問題は、その後の層。中層以降もさらに階層が連なっているが、ここがグンと狭くなる。平社員→課長よりも課長→部長の門が狭いのは当たり前だし、部長→支部長となればもっと狭い。当然、勝ち上がれない管理職おじさんも多数出てくる。

これが、高給取りの、働かないおじさんのメカニズム。出世競争に敗れた者の、成れの果てだ。

なぜあぶれたオジサンが放置されているの?

それは日本企業がコミュニティだからだ。

日本企業への就職は、言うならば「あなたは我が社というコミュニティの一員です。その心身、捧げなさい。その代わり、我が社はメンバーを見捨てません」という契約みたいなもの。欧米企業みたいに「使えなかったらすぐクビにするから」という前提は無い。

だから、よほど問題があるか、必要性(リストラなど)に迫られない限りは、クビにできない。というか、そういう発想がない。だってコミュニティだから。仲良しこよしが基本だから。

人付き合いだってそう。イヤなやつがいるからといって、表面上は付き合う。よほどのことがなければ絶交はしない。

そうなると、企業が取れる戦略は「別の使い道を探す」であるが、では年配のオジサンに何ができるというのか。

まず上位職については、前述のとおり「お気に入りの仲間たちが徒党を組んで仕事をする」スタイルであり、収容人数も少なく、空きなんてない。それから現場についても、体力気力メンタルで若者に勝てるはずがない。

居場所がないのである。なら、あとはもう、放置するしかない。高給取りおじさんにしてみても、今の待遇は悪くないし、年齢的に爆進する年でもないから「まあこのままでいいか」と妥協する。こうして、高級取りの働かないおじさんが誕生する。

出世や上位職に興味がない場合はどうすればいい?

まずは、出世や上位職について、食わず嫌いをせず向き合ってみること。多くの人をひきつけていることからもわかるように、やりがいがある仕事なので、案外夢中になれるかもしれない。特に若者は、自分の人生を悟るには早すぎるので、まずは目の前の仕事にがむしゃらに没頭してみるのがいい、と結論付けられている。

それでもダメなら諦めるしかない。プライドが許さないかもしれないが、日本企業は出世以外に評価の仕組みがないし、給与も上がらないのだから仕方ない。

出世以外の道の実例としては、

  • 定期異動の度に興味がありそうな部署に異動して、色んな仕事を経験して楽しく渡り歩いていく
    • 次異動したい部署の部長に前もって熱意を伝えておくのがポイントらしい
  • 副業をする
    • 筆者自身もサラリーマンでありながら作家である
    • ほどほどに働きながら、好きなスポーツのインストラクター(こっちがメイン)として日々楽しむM君

などが挙げられていた。

……ふむう、私のように若くして社内ニートを目指すような生き方はさすがに無いか。

高給取りおじさんが生き生き働くためにはどうすれば?

興味深い例が挙がっていた。異動についてなのだが、

  • 異動者(高給取りおじさんレベルの役職者)たちと異動先上司たちが集まる
  • 異動先上司たちがプレゼン
  • 異動者は、行きたい部署を選ぶ
  • 調整(規定人数越えたら希望通りではないが別部署に、とか)

という感じで、異動者の意志で異動先を選べるようにしたところ、生き生きと働く率が高くなったらしい。

要するにマッチングである。本人のやりたいことを、本人の意志で選べるようにすればいいのである。そうすれば本人も意欲が湧く。希望通りになれるとは限らないが、それでも自分が選んだ結果であるから、勝手に決められるよりは納得できる。

これは高給取りおじさんだけではなく若手にも適用できる。今の日本企業は、一緒に働きたいヤツを見出すシステムだから、そこからあぶれたヤツに居場所はないが、そうじゃなくて、もっと多様な働き方や立場を認め、選べるようにすれば、よりたくさんの社員が輝ける。

……これは同感だ。私自身もあぶれる側で、自分にとっての得意分野を探している最中なのだが、会社としてそういう受け皿がなく(現場を見れば需要はあるのに)、苦戦している。もっと柔軟に選べたらいいのになあ、とは常々思っている。

変えるのは難しいけどね。少なくとも個人がどうこうできる問題じゃない。だからこそ、合わない(かつ有能な)者は転職していく。私も本当は転職したい。力がないから、こうして巣食い続けるしかないのだがね……。